『小さく分けて考える』(菅原健一著)の著者は、社会や企業の難しい問題を解決する専門家という人物。
事業を成功させる成功請負人として、使っているのが「分解思考」。
頭の中だけで考えるのではなく、分解して紙に書く。
足りない情報があれば、調べて増やしていけば必ず解決するのだそう。
うまくいく人とそうでない人の違いは、目的・目標を「分解」しているかどうか、ということ。

要素を切り分けることで、問題や課題を特定することができ、解決の行動を決めやすくなるシンプルだけで使い勝手のよい思考法だというのです。
物事を分解するときのコツ
- 要素を数字で掛け算になるよう分解する
- 数字を構成する要素は何かを考え、分解する
- 抽象的なものは具体的にしてみると考えやすい
- 視点を一つ上げて、全体像を考える
- アイデアを出す時、抜け漏れをなくしたい時は「反対」を考えてみる

このような分解のコツを押さえて考えることで、「解像度が高い」思考ができるようになるそうです。
問題解決のために、分解思考のフローチャートをなぞってみる
ここまでで、「分解思考」というものがどういうものかお伝えしました。
次に、著者が用意してくれた、仕事における問題解決フローチャートを利用してみましょう。

このようなフローチャートに沿って進めていけば、随分と問題解決がしやすくなるのではないでしょうか?
このチャートの最初の項目で、目標、問題がない場合について、「常に複数のキャリアの選択肢を持つ」ということの大切さについても触れています。
著者は、かつてエンジニアをしていた頃に、古い言語しか使えないベテラン社員が環境の変化で仕事がなくなっていた様を見ていました。
常に新しい知識やスキルを学んでおかなければ、いつ取り残されてしまうか分かりません。
一つの道に固執するのではなく、常に他の選択肢を選べるようにすることで、いざという時のリスクヘッジになります。
ほかにも、著者は目標達成や、課題解決の計画を立てる際に注意すべきことについても言及しています。
労力や時間は無限にあるわけではない
目標達成や、課題解決にむけて、予定を組み始めると、つい自分に負荷をかけ過ぎている無茶な計画を立てることがあるそうです。
この「とにかく頑張る」という思考停止は良くないと指摘しています。
会社員でも、フリーランスでも、もっと効率的にする方法はないか、という視点を忘れないことが大切だと述べています。
そして具体的に動くときについても分解をします。
「行動」が見えてくるまで分解をしていくのです。
何をすべきかが見えてくるまで行動を分解ができたら、次は、「やらなければならないタスク」を4つに分類することで優先順位がつけます。

上の図のようにタスクを整理したら、①から順番に取り組んでいきます。
その際も、「なんのためにやっているのか?」という視点を忘れないようにしましょう。
効果はあるけど、時間がかかっている仕事は、時間を短くする方法がないか、考えてみることも大切だと著者は言っています。
SNSでたくさんの人の意見を聞いてみる
この本には、最後に付録として、解像度を上げて考えるためのヒントも書かれています。
自分だけで考えたり、身近な人とだけ話し合いをしても、どうしても考え方に偏りが出てしまいます。
そこでSNSを活用した意見交換をおすすめしています。
「自分の意見」を発信し、たくさんの人から反応をもらおうと言うのです。
この時は、相手が答えやすいように、かしこまった丁寧な質問でなく、気軽にカジュアルな聞き方をしましょう。
自分で考える答えを出すクセをつける
自分で考え、自分で決めたことであれば、うまくいかなかった時、自分ごととして振り返ることができます。
会社から指示されたことであっても、自分で分解し考えることで、自分の裁量できることを見つけることができれば、納得感を持って目標に取り組むことができるようになります。
そして、分解する時のコツとして、紙に書き出すことをすすめています。
紙に書き出すことで、分解の過程を可視化することができます。
チームで議論する場合にも、今どの話をするのか一目で分かるので脱線することを防ぐことができます。
著者が仕事をする時考えているのは「もっと大きな、もっと良い結果を出すにはどうしたらよいか?」ということです。
数多くの企業の仕事の中で、一番役に立った考え方というのが、「大きな難しい問題」を「小さく分けて考える」という分解思考でした。
複雑な問題を小さく分けて考えるという思考方法は、難しい知識や難解な単語を覚える必要はありません。
困難な課題に向き合う時、目標達成を目指す時、この「分解思考」をすることで、自分の望む成果を得ることができるかもしれません。

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